10/5(土) 午後11:00-午後11:59
58年前に一家4人殺害の犯人とされ、半世紀以上を死刑囚として生きた袴田巌さん。ようやく開かれた再審で9月26日、無罪判決が下された。弟の無実を信じ、裁判やり直しを求め続けたのは姉のひで子さん。巌さんは10年前に裁判所の判断で釈放され姉と暮らし始めたが、長年の拘禁で精神が蝕まれていた。会話もままならない弟を支えながら、重い司法の扉をたたき続けた姉。長期にわたり2人に密着、無罪を得るまでを追った記録。
袴田事件の概要と経緯
この文書は、1966年に発生した袴田事件の概要、再審への道のり、袴田巌さんと姉のひで子さんの生活、そして最新の裁判状況までを包括的に記述しています。
目次
事件の発生と裁判
- 1966年6月30日、静岡県旧清水市で味噌会社の専務一家4人が殺害される
- 元プロボクサーの従業員、袴田巌さん(当時30歳)が逮捕される
- 袴田さんは一貫して無実を主張するも、19日目に自白を強要される
- 1年2ヶ月後、現場のミソタンクから血のついた5点の衣類が発見される
- 裁判所は5点の衣類を犯行時の着衣と認め、死刑を宣告
- 1980年12月、最高裁で死刑が確定
再審への道のり
- 1981年、第一次再審請求が棄却される
- 2008年、第二次再審請求で弁護団が5点の衣類の証拠捏造を主張
- 2014年3月27日、静岡地裁が再審開始を決定し、袴田さんの釈放を命じる
- 元裁判長の村山博明さん:「存命中に結論を出さなければ意味がない」
- 検察は即時抗告し、審理は東京高裁で続行
釈放後の生活
- 48年ぶりに釈放された袴田さんは3ヶ月の入院後、浜松の家に戻る
- 姉のひで子さんが準備したマンションで生活を始める
- 当初は外出せず、家の中を歩き回る日々を送る
健康状態の変化
- 釈放から5ヶ月後、胆のう摘出の緊急手術を受ける
- 心臓の血管を広げる手術も成功
- 長年の拘置生活で精神的・身体的ダメージを受けていた
ひで子さんの支援
- 91歳のひで子さんは45年以上毎日30分の体操を続ける
- 弟を支え続け、再審請求のために尽力
- 母親の遺志を継ぎ、無実を訴え続ける
ボクシング界からの支援
- 日本プロボクシング協会が袴田さんを後楽園ホールに招待
- 袴田さんの元プロボクサーとしての経歴
- 23歳でプロデビュー、日本フェザー級6位まで上昇
- 年間最多19試合の日本記録を保持(現在も破られていない)
- 協会は「ボクサー崩れ」という偏見が犯人視の一因になったと反発
- 現役チャンピオンやボクサーによる裁判所・検察へのアピール活動
- 袴田事件の漫画制作など、若い世代への啓発活動も実施
巌さんの精神状態の変化
- 死刑確定前:しっかりとした精神状態を保つ
- 死刑確定後:独自の世界観を構築し、現実との乖離が進む
- 手紙や日記に無実を訴える記述が残される
巌さんの79歳の誕生日
- 支援者たちが集まって祝福
- 50年間お金を使わなかった巌さんに財布がプレゼントされる
- 巌さんの反応:
- 「タンスの引き出しに鍵をかけて入れておけばいい」
- 「ポケットに入れて風呂に入らなければならない」
- 「1万円払って釣りはいらない」という生活スタイル
巌さんの生活の変化
お金の使い方
- 積極的にお金を使うようになる
- 「1万円出して釣りはいらん」という基準で生活
- お金がどこまで続くかわからないという不安
親戚の女の子との交流
- 生後9ヶ月の女の子が訪問するたびに笑顔になる
- 1000円のお小遣いを毎回あげる
- 子供の成長と未来への期待を語る
裁判の進展
東京高裁の判断
- 静岡地裁の再審開始決定から4年後
- 弁護団の5点の証拠を退け、再審を認めず
- 弁護団は特別抗告し、最高裁に判断が委ねられる
最高裁の決定
- 2020年12月、高裁への差し戻しを決定
- 審理のやり直しを命じる
新たな東京高裁の判断
- 静岡地裁の再審開始決定から9年後
- 5点の衣類が捜査機関に捏造されたと言及
- 裁判のやり直しが確定
再審裁判の開始
- 2023年10月、事件から57年後に開始
- 静岡地裁で15回の公判予定
- 主な争点:衣類の血痕の赤みの不自然さ
- 弁護団:血液は1年以上で黒く変化すると主張
- 検察:環境によっては赤みが残る可能性があると主張
- 弁護団は無罪を、検察は死刑を求刑
巌さんとひで子さんの日常
- 90歳近いひで子さんは毎日階段を使用
- ひで子さんは麻雀を楽しみ、時々歌うようになる
- 袴田巌さんは88歳になり、精神的に強くなる
- 袴田家に猫のルビーとカノが加わる
巌さんとの再会
- おじさんが赤ん坊の頃に抱っこした思い出
- 現在10歳になる子供の成長
- スタイリッシュで外見を気にしている
- 巌さんをテレビで見た時の反応
- 「ビデオさん出てる」と言及
- 握手の印象
- あたたかい手だと感じた
ひで子さんの美容院通い
- 50年以上通い続けている
- 裁判が近づくと髪を短く切る習慣
- 「昔の女の人は命の杖くらい大事でしたでしょ」という言葉
- 年末祭での丸刈りについての考え
- 「丸ごとすればいいや」という態度
裁判に向けての準備
- 判決の日に着る服の準備
- 白いブラウスを選択
- 服の調整
- 首元が窮屈だったため自分で直す
- 「襟を開けときゃいい」という工夫
- 服装への態度
- 「これでいい、これでいい」と自信を持つ
権力との戦い
- 「見えもしない権力との戦い」という認識
- 諦めない姿勢
- 「何年かかろうと、権力と戦うにはそれしかない」
最新裁判の結果
- 袴田巌さんへの無罪判決
- ズボンの切れ端、自白調書の3つの証拠が捜査機関の捏造と認定
- 判決への反応
- 「感激するやら嬉しいやらで涙が止まらなかった」
- 1時間も涙が続いた
巌さんの日常と心境
- いつもと同じように散歩に出かける様子
- 自由を取り戻すことへの問いかけ
- 「お前は罪のない身でありながら、いつになったら自由を取り戻せるのか」
- 自らの無罪を確信
- 「お前は罪のない身である」
アクションアイテム
- 袴田さんの健康状態の継続的な観察と必要な医療ケアの提供
- 再審審理の進捗状況の確認と支援活動の継続
- 袴田事件の社会的認知を高めるための啓発活動の実施
まとめ
全てをご覧になりたい方は、NHKオンデマンドをご視聴ください。
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